EU ELV指令とは
【EU ELV指令】
ELV指令とは?
使用済み車両に関する2000年9月18日の欧州議会と欧州連合理事会の指令2000/53/EC
“DIRECTIVE 2000/53/EC OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 18 September2000 on end-of life vehicles” (ELV)の略
【目的】
使用済みの自動車から出る廃棄物を削減し、自動車に関わる産業の環境負荷を軽減することを目的としている。 自動車メーカー、ならびに材料、装置メーカーは、
設計段階からリユース・リサイクルを念頭に置くことを奨励し、また、各メーカーが2003年7月1日以降に上市する自動車の材料および部品については、例外品目
を除いて、鉛、水銀、カドミウム、六価クロムの含有を禁止。
環境保護と資源の有効活用の実現のため、廃棄物のリサイクル、廃棄物中に含まれる有害物質の排除をELV 指令で強制化している。
【対象】
乗用車*(9名以下)、バス* (9名以下)、トラック* (3.5t以下)、三輪自動車
*乗用車、バス: カテゴリーM1(座席数が8名以下(運転席除く)の人員運送用の車両)
*トラック: カテゴリーN1(最大重量が3.5トン以下の物品輸送用の車両)
【規制物質】
禁止物質 | 閾値* |
鉛 | 0.1 wt% |
水銀 | 0.1 wt% |
六価クロム | 0.1 wt% |
カドミウム | 0.01 wt% |
ポリ臭化ジフェニルエーテル | 規制対象外 |
ポリ臭化ビフェニル | 規制対象外 |
DEHP(フタル酸ジ-2-エチルヘキシル) | 規制対象外 |
BBP(フタル酸ブチルベンジル) | 規制対象外 |
DBP(フタル酸ジ-n-ブチル) | 規制対象外 |
DIBP(フタル酸ジイソブチル) | 規制対象外 |
【閾値(最大許容濃度)について】
・濃度計算の考え方 : 最大許容濃度の分母は均質材料と言われるもので、「全体的に一様な組成」で「機械的に分離できる最小単位」。
装置全体や電子部品単位でなく、もっと小さな単位。装置全体を分母とすると過小濃度になる可能性があることに注意。
*参考 均質材料 (homogeneous material) :各種加工の機械的動作でも異なる材料に分離・解体できない最小単位の材料。
【要求事項】
■リサイクル率の規制
リサイクル率:85%以上 (リサイクル率: 車両重量に対してリサイクルできる可能性のある材料の重量が占める割合)
リカバリー率 : 95%以上 (リカバリー率: 材料リサイクルとサーマルリサイクルできる可能性のある材料の重量が占める割合)
■環境負荷物質の使用禁止
2003年7月1日以降の新車/部品は、鉛・水銀・カドミウム・六価クロムの使用を原則禁止(除外規定有り)
車両型式認証時の要件及び審査
車両メーカーは認証審査時までに材料及び質量データを収集する必要がある。
【除外物質】
・規制適用が除外される部品・用途を、AnnexⅡの適用除外リストで規定
・除外は定期的に見直し⇒ 将来廃止/縮小される場合あり
適用除外リスト(AnnexⅡ)例:はんだ中の鉛